クローズド・ノート/雫井脩介

とても共感した。
共感しすぎてココロがぎゅうぅっとした。
切なかった。
でも暖かくて、ココロがじわんとした。
後半は泣いてしまった。
  
※以下ネタバレです。
  
    
まず、前半の主人公の香恵ちゃんはまるで私の学生時代のようだった。
あそこまで天然じゃない(と思う)が、キャラ的にはあんな感じだった。
  
影響されやすく、同調しやすく、恋に恋することが楽しくて、
男心が分かってなくて、勘違いしやすくて、
周りの大人びた友人たちに憧れ、いつもワンテンポ遅れてて、
でも良い友人たちには恵まれ、ちょっと勇気をもらってははりきって etc…
・・・あれ、一部今もあてはまる?!
  
驚いたのは、マンドリンを弾くときに眼を閉じて身体を揺らすというところ。
私もピアノを弾くとき、どうも人よりも動きがオーバーだったらしいから、これも似ている。
  
もう一人の主役?の伊吹先生はとてもステキで、とても尊敬できる人物だ。
もしかして、私が今10代後半ならば、これを読んで本気で先生を目指していたかもしれない。
(↑なんて思っちゃうあたりも、まるで主人公と同じか?!)
実は私も、先生に憧れたことがある。
中学では幼稚園の先生に、高校では音楽の先生になりたかった。
そして大学では、一応資格も取った。
高校の国語の先生には、頑張ればなれる。そうとう頑張れば。
とまぁ、それはとても低い志でしかなかったので、置いといて…。
  
不登校の子の話、「心の力」の話、ほか数々のエピソードなど。
なんでも、作者の亡くなった実姉の残したノートから使用した実際の言葉もあるらしいのだけど、どれも素晴らしく心に響く話ばかりだった。
  
そんな伊吹先生も恋には悪戦苦闘していた。
伊吹の過去の恋。これまたまるで若かりし私のようだった。

「いきなり映画のクライマックスを見せられたみたいだった」
「自分としては、したつもりのこともあったけれど、隆には伝わっていなかったのだ」
「私は自分で考えてるよりもずっと、自分の気持ちを押し隠して生きているのかもしれない。〜〜 私はもっと前向きになって、自分のラブストーリーを少しずつ、魅力的に、彼につたえていくことが大切だということ。」
「どうして私のこの気持ちを隆は分かってくれないんだろうかという思いだけがふくらんで、それを持て余していた。でも、それをぶつけてしまえば、隆はまた私に背中を向けてしまうのが分かっているから、何とかそれを抑えて自然体に見せかけることに苦心して、私は不自然なよろいを余分に着てしまっていた。そんなよろいはいらないし、そんな戦いをするのは意味がない。私はもっと柔らかくて甘い果実を自分の心という畑で育んでいて、その収穫を彼にあげられるはずなのだ。」

  
これには、心臓をつかまれた。
最後あたりは、いまでもありえるなー。気をつけよう。
  
エンディングに近づくにつれ、涙があふれてきた。
小学校を訪ねたあたりからはボロボロと。
最後のスピーチ(伊吹から隆へのメッセージ)は、そのまま今の私と重なった。
特に最後のあたり。
  
ラストは少し笑ってしまった。
万年筆が欲しくなった。
  
思い出の本になりそうな1冊。
良い本を貸してくれてありがとう。教えてくれてありがとう。